夢みる蝶は遊飛する

「亜美っ、そういえばプレゼントひとつ忘れてた! これこれ!」


舞が、窓際に椅子にもたれ掛けさせて置いてあった大きなぬいぐるみを抱きかかえた。

今人気のクマのキャラクターだけれど、やけに細長い。

立たせると、私の胸くらいまでありそうだ。



「抱き枕だから、ちゃんと毎日一緒に寝てよね」


そういって、手触りのいいそれを押しつけられた。

少し離して見つめると、黒くて丸い目が私を見つめ返す。

さらに見つめつづけていると、なぜかそれが微笑んだように見えた。


「ありがとう。可愛い」


そう言って抱きしめた。


一緒にベッドに入ったら、よく眠れるだろうか。

ずっと抱きしめていたら、あたたかい気持ちに包まれるだろうか。



今晩が楽しみになってきた。

私はそれを先ほどと同じように椅子に座らせ、頭を撫でた。


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