夢みる蝶は遊飛する
「ごめんね、持ってもらっちゃって」
「いいよ。軽いし」
鞄に入らないプレゼントの包みを抱えて帰宅しようとした私は、持ちきれなかったクマの抱き枕を須賀くんに持ってもらっている。
最初は、背負ってでも持って帰ろうとしたのだ。
けれどその姿を見かねたのか、須賀くんが荷物持ちを申し出てくれたのだ。
たしか二学期の終業式のあと、彼と沙世と三人で帰ったときも、似たような会話を交わした覚えがある。
顎で使っているような気がしてしまって申し訳ないけれど、細長いクマの足が地面に擦れてしまいそうで心配していたのも事実だ。
彼の言葉に甘えて、クマを託した。
肩に担がれたそれが、彼の動きに合わせて弾む。
やっぱり、笑っているように見えた。