夢みる蝶は遊飛する
LAST SECRET
仄暗くあれ
短い春休みを終えた私は、当然ながら三年生へと進級した。
クラス替えがあったけれど、沙世とはまた同じ教室で過ごすことができる。
須賀くんも同じクラスだ。
ヒロくんは隣の、桜井くんと一緒になった。
掲示板に張り出された紙を見ても、少しも不安そうな素振りを見せなかった沙世に訊いた。
「沙世は、ヒロくんと同じクラスがよかったんじゃないの?」
けれど沙世は、平然とした顔で言い切った。
「家に帰っても近所だからうちに入り浸ってるし、クラスぐらい別々がいいわ」
それに、と少し声をひそめて付け加えた。
「同じクラスだと、見られたくないところまで全部わかっちゃうじゃない。授業で当てられて間違えたとか、寝てて注意されたとか」
「沙世でもそんなことを気にするの?」
幼馴染みで、ずっと一緒にいた二人なのに。
今さらなにかを取り繕うような間柄でもないだろう。