夢みる蝶は遊飛する
「当たり前よ。自分の全部を知られてるとしても、あえてカッコ悪いところなんて見せたくないし」
「そういうものなの?」
「そういうもんなの」
釈然としない思いを抱え、心の中でだけ首を傾げた。
「それよりもあたし、亜美に訊きたいことがあるんだけど」
心当たりがあるため、ぎくりと肩が震えた。
それを気取られないように、嘘くさい笑みを浮かべる。
「なに?」
「どうして振ったの? 須賀のこと」
ずいぶんと直球だ、と苦笑して目をそらす。
「・・・・言えない」
私が言えば、きっと沙世は笑うだろう。
馬鹿ね、と。