夢みる蝶は遊飛する
「今は駄目って、言ったの。須賀くんに」
「今は?」
頷く。
「じゃあ、いつになったらいいわけ?」
「その日がなるべく遅ければいいな、と思ってるんだけどね」
いつか来るその日は、私の夢の最後となる。
やっと、終わらせることができる。
思い描いていたものとは違う形にはなるけれど、それでもいい。
「なにそれ。須賀と付き合うのを遅らせたいの?」
「そうじゃなくて、遅い方が須賀くんも嬉しいと思うから、そういう意味で」
意味がわからない、と沙世は諦めてため息をついた。
私も、やけに頑固になっている自分自身に向けて、沈鬱な想いをこめた息をはいた。