夢みる蝶は遊飛する


始業式の翌日、登校した私は自分の席で存在を消すかのように、静かに座っていた。

周りはほとんど知らないクラスメイトたちばかりで、すでに出来上がりつつある輪の中には入っていくことができない。

二年も通っていれば、それなりに知り合いも増えるだろう。

けれど私は、まだこの学校に来て半年しか経っていないのだ。


特に目立つわけでもない私に気づく人は少なく、私だけ違う空間に取り残されているようだ。

社交的な性格になど、今さらなれない。

そんな風に、関わることを諦めていては、これから先も変わらないままだろうとはわかっている。



けれど、いつか失うかもしれないものだから。

だから、欲しがらないほうがいいのだと、どうしても思ってしまう。

いつまでも同じ場所にいられるわけではないから、あえて確かなものを手に入れる必要はないのだと。



手放す方も、置いていかれる方も、どちらもつらいのだから。

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