夢みる蝶は遊飛する
怒鳴り声に遮られて、その先は言えなかった。
続く言葉を無理矢理飲み込んだ喉は、やけに乾いていた。
すぐに諭せるとは思っていなかった。
けれど、こんな風に怒りが私へ向くことも予想していなかった。
浅はかだった。
少し考えればわかりそうなものなのに。
「黙れよ。ただのマネージャーになにがわかるんだよ」
今度は、私が俯く番だった。
私の言葉は、彼には届かなかった。
聞く価値もないと言われているかのようだった。
もう、なにか言う気力はなかった。
じんわりと、涙が視界を覆うのがわかった。
「いつも見てるだけのやつに、俺たちの気持ちなんかわかんねえんだろ!」
その言葉が、残っていたわずかなプライドを打ち砕いた。
頭の中で、なにかが割れる音がした。
一瞬前まで涙が溜まっていた瞳で、彼を睨みつけた。