夢みる蝶は遊飛する
机に突っ伏してため息をつく。
吐いた息とともに、この気持ちもどこかへ出ていってくれればいいのに。
「価値・・・・ね。あるって即答するのが正しいとは思うんだけどね」
その言い方では、まるで先生も私に価値などないと思っているかのようだ。
気休めのように都合のいいことばかり言われたかったわけでもないのに、気分が落ち込む。
「あなたの本質を知らない私が、それを答えるべきじゃないと思うわ」
はぐらかされた、と思った。
明言を避けて逃げるなんて、今はしてほしくなかった。
それは自分もよく使う方法なのに。
「そうですか」
ため息を飲み込んだ代わりに出した声は、空気に溶けるように消えていった。
結局誰も、私を必要としていなかったのではないかという思いが胸を占めはじめる。
必要とされたくて居場所を求めていたけれど、残っているのは『精一杯尽くした』という自己満足だけかもしれない。
なんて惨めだろう。
目の奥がまた、熱くなってきた。