夢みる蝶は遊飛する
夢の終わり
「はい、じゃあ今日はこれで終わるけど、明日はいよいよ・・・大会です」
大会を翌日に控え、練習後に円になって集まっている。
一年生もいるために、詰めても大きな円になってしまう。
そこにいるひとりひとりと目を合わせながら、舞がゆっくりと話しはじめた。
「あたしたち三年生は、負けたらそこでもう終わりだよね。引退しなきゃいけない」
秋の大会までは三年生も出場できるのだけれど、この学校ではそれを選択する生徒はまずいない。
引退した人は次々に受験勉強に専念している。
バスケ部でも、全員揃ってこの大会をもって引退することになっている。
「残念ながら、明日の一回戦で当たるのはT高だけど、あたしは諦めない、諦めたくない」
初戦で戦うのは、県大会の常連校だ。
ここは、まず県を東西で分け、それぞれの大会でベスト4に入ったチームが県大会に出場できることになっている。
地区大会で三試合勝てば、県大会への道が開かれるのだ。
それぞれの学校の顧問が集まってくじを引いて、対戦相手が決まる。
対戦表を見た瞬間の舞の表情は、今まで見たことがないほど険しかった。