夢みる蝶は遊飛する
翌日の私は、息つく暇もないほど多忙だった。
この大会の会場は3つあるのだけれど、今回私の学校は偶然、男女ともが同じ会場で試合をすることになったため、仕事が二倍なのだ。
今までの大会では会場が別々だったため、女子の方だけしかサポートしていなかった。
大会はさすがに、普段の練習とはわけが違う。
両方の仕事をこなすために、常に走り回っていた。
部員たちがウォームアップをしている最中に、私はドリンクの準備をしていた。
今はそれぞれ走ったり、入念にストレッチをしているはずだ。
冷水器で大量の水を汲み、その中にスポーツドリンクの粉末を入れて溶かす。
そのごみを、持っていたビニール袋に入れてポケットにしまい、ひとつ10リットル入るその容器を持って立ち上がろうとした。
けれどそのあまりの重さに、持ち上げかけたそれを下ろす。
容器の重さを考えなくとも20Kgあるのだ。
一度に運ぶのは無理だろう。
けれど、ひとつをここに残して、ひとつずつ運ぶのは不安だ。
もしかしたら盗られるかもしれないし、なにかを混入される可能性もある。
どうしようかと考えてしゃがんでいると、私に重なるように影がかかった。