夢みる蝶は遊飛する
「つまり・・・・ごめん!」
私たちはいつの間にか立ち止まっていた。
大きく頭を下げた岡田くんは、手に持っているものの重みでふらついていた。
他の学校の生徒たちが、少し不審そうな顔をしてこちらを見ている。
「謝らないで。本当のことだから」
「でも、高橋さんは俺たちなんかよりもずっと・・・・」
「それはもう過去のこと。今じゃないから」
口にするのは、思うよりずっと苦しかった。
傷に沁み込んでくる。
けれどこの痛みも、受け入れて乗り越えていかなければいけないものだから。
「本当に、見てるだけだとか、ただのマネージャーだって思ってたわけじゃないんだ・・・・」
「うん、わかってる。岡田くんはそんな人じゃないから」
心から、マネージャーである私のことを見下しているのであれば、そもそもこんな風に謝ってきたりはしない。
そして、仮に謝罪があったとしても私は簡単に許したりはしないだろう。
私の自尊心を、故意に深く傷つけたことになるのだから。