夢みる蝶は遊飛する
夜空と蝶と月光と
女子は一回戦敗退。
ダブルスコアに近い点差をつけられたけれど、実力を出し切ったと言える試合だった。
試合後は皆泣いていたけれど、晴れやかな顔をしていた。
男子は三回戦で敗れた。
これで勝てば県大会出場だと、コートに立つプレイヤーたちの気持ちも最高に昂ぶっていたし、応援も今までにないほど熱が入っていた。
それでも、負けてしまった。
タオルで顔を隠しながら泣く男子部員たちを見て、女子もまたもらい泣きしていた。
それを見ていたら、私も涙ぐんでしまった。
最後まで諦めずに走りつづけた舞の姿。
裏返るほど大きな声を出して応援をしていた他の部員。
ユニフォームから出た肩は細いけれど、頼りなくなどなかった。
薄くんは、先日急遽スタメンに加えられたとは思えないほどチームに馴染んでいた。
桜井くんの荒々しく獰猛にも思えるプレイを、須賀くんのしなやかさが中和して、ふたりは対をなしているように見えた。
途中から試合に出た岡田くんからは、勝利への熱意がちゃんと伝わってきた。
ベンチで指示を出す稲垣くんは、熱くなりすぎて松葉杖なしで立ちあがって叫んでいた。
そのすべてを、しっかりと目に焼き付けた。