夢みる蝶は遊飛する
「はじめまして、高橋亜美です」


比較的、落ち着いた声を出せたと思う。

きっとクラスの生徒の前には、控え目に微笑む私がいるのだろう。


担任からいくつか質問をされ、それに答えながら自己紹介を終えた。



過去のことは極力話したくはなかった。

かつての華やかな栄光を知っている人は、きっといないだろうけれど。

あの頃のことを考えると、今でもどうしようもない絶望に襲われる。



担任に席を教えられた。

窓際の、一番後ろの席。

隣は須賀くんという男子生徒だ。

ちなみに担任は佐竹文恵先生というらしい。



身体中に視線を感じながら、私は指定された席に着いた。


隣の席の須賀くんは、色素の薄い髪と瞳を持つ男の子だった。

綺麗だな、と思った。

それが彼の、第一印象だった。




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