夢みる蝶は遊飛する
「この学校、わりと頭いいのよ」
ただしあたしは除く、と沙世は付け加えた。
「ココでトップ10なんていったらそれこそ、」
東大レベルね、なんて、沙世は面白そうに笑った。
「・・・それはおいといて、沙世、しっかり話聞いてたのね。あんなに興味なさそうな顔してたのに」
そうだそうだ! と言う須賀くんは、少し黙っていてほしい。
彼はさっきから人の言葉に便乗しているだけである。
「あたしは常に、面白いものを探してるの」
女王様然として沙世は言い切った。
ということは、私は沙世が楽しむための駒なのだろうか。
私の心を掻き乱すだけ掻き乱して、沙世は部活に行くからと去っていった。
それを見た須賀くんも、壁掛け時計を見て、俺も部活だ、とスポーツバッグを担いで走り去った。
結局あの二人は、私の味方なのだろうか。
これからはじまる勝負の行方、そして勝敗によってはここでの学校生活が私の望んでいたものと真逆になってしまうことを考えて、私は息を深く吐いた。