夢みる蝶は遊飛する
家に着いて、さすがにすぐに勉強をはじめる気にはなれない。
窮屈な制服から部屋着に着替え、リビングに向かう。
キッチンで夕食の準備をしている祖母に声をかけ、冷蔵庫から飲み物を取り出してソファに座るとテレビではドラマの再放送が流れていた。
それは、部活で多忙だったために連続ドラマなど見る時間がなかった私でも知っている、某国民的アイドルグループの一員が主役を務めたものだった。
しばらくぼんやりとそれを眺めていたら、半時間ほど経ってしまったことに気がついた。
コップの中のぬるくなった飲み物を一気に飲み干し、私は自室へと向かった。
勉強机は邪魔なため、引っ越すときに捨ててしまった。
そのためローテーブルの前にクッションを置いて座り、鞄からノートと問題集を出す。
邪魔な髪をひとつに束ねてから、シャープペンシルを握った。
すると。
「・・・・・・ん、・・・?」
どれだけ考えてもわからない問題に、いきなりぶつかった。