夢みる蝶は遊飛する
慈悲深き魔女
怒涛のテスト週間が過ぎ去った。
返却された解答用紙に書かれた点数としては、満足のいくものだった。
けれど、それで桜井くんに勝てるかと訊かれれば、私は曖昧な答えしか返せそうにない。
この学校のテストがどの程度の問題であって、桜井くんがどの程度できるのか、そして私がどれだけやれるのか。
この勝負はとてもじゃないけれど、私に有利なものだとは言えなかった。
もともと、私が望んだ勝負でもない。
テストが終了してから、休み時間になるたびに桜井くんは隣の私のクラスにやってきて、須賀くんやヒロくんと戯れるふりをしながら私の様子を窺っている。
自意識過剰では決してない。
それだけ桜井くんの行動が不審かつ奇妙なのだ。
たとえ結果がどのようなものであっても、私の答えは決まっているのに。