夢みる蝶は遊飛する
ついに今日は、成績上位者が張り出される日である。
すでに全教科の答案は手元にある。
足を引っ張ったのは、やはり苦手意識をもっている数学。
バーコード頭が特徴の鈴木先生に教えられている数Ⅱはそれなりだったけれど、別の教師が担当している数Bが、案の定と言うべきか思いのほかと言うべきか、今ひとつだった。
けれどもそれだって、前の学校では考えられないような点数だった。
一番良かったのは古典で、なんと98点。
現代語訳で、尊敬語の対象を間違えたために、2点引かれたのだ。
その答案を盗み見た沙世の唖然とした表情が忘れられない。
上位者の名前は昼休みに学年掲示板に張り出されるということなので、4限目が終わってすぐに見に行くことにした。
載っているかどうかも分からないし、見に行ったのに載っていなかった場合、どう考えても惨めで虚しくなりそうなので、一人でこっそりと教室を出た。
・・・・はずだった。