夢みる蝶は遊飛する
「よし、じゃあ見よ。全教科の上位者のでいい?」
私は頷き、彼と一緒に喧騒の中へと飛び込んだ。
なかなか前へは進めず、さらに目の前に体格の良い男子が立っていることもあり、名前が読める位置までは近づけない。
隣にいる彼も同じらしい。
「……、痛…」
足を踏まれた。
でもこんな状態では、それも仕方がない。
少し時間を置いて、あとで見に来ようかと考えた。
けれどそれでは、桜井くんから結果を聞かされることになるかもしれない。
なぜだかそれは、嫌だった。
元来負けず嫌いでプライドが高い私は、そんなことすらも我慢ならないのだ。
「高橋さん、こっち」
少しの隙間を彼が見つけたので、そこへ二人で滑り込む。
ちょうど見たかったものが、すぐそこにあった。