夢みる蝶は遊飛する
「え?」
「は?」
「へ?」
見事な三重奏。
柏木さん、桜井くん、須賀くんが、それぞれ目を見開いて驚いている。
硬直している三人が解凍しないうちに話してしまおう。
この三人が喋り出すと、本題に辿りつくまでに時間がかかりすぎる。
「勝って得た権利を、その条件として使わせてもらうね。大丈夫、ひとつだけだから」
「い・・・いいの!? なななななんでっ」
こぼれ落ちそうなほどに目を大きく開いて詰め寄ってくる柏木さんにたじろぎ、思わずあとずさる。
「舞、脅えてる、脅えてるから落ち着けよ」
柏木さんの甲高く裏返った声で我にかえったのか、桜井くんもやっと意識がこちら側に戻ってきた。
須賀くんだけは、まだ瞠目したまま固まっている。