夢みる蝶は遊飛する
「あ、ご・・・ごめん」
「いいよ。えっと、なんでって言われると困るんだけど・・・」
私にだってよくわからない。
ただ、自分の中のなにかが、いまだにバスケを求めているような気がして。
バスケは、私の中の悲しくて、辛い記憶と直接結びついているけれど。
それはきっと、純粋にバスケが好きなのだという心の表れだと。
そう解釈した方が幸せなのだ。
もちろん、罪の意識も背負った過去も、忘れてはいないけれど。
「まあ、なんでもいいや! ほんとにほんとに、本当なんだよね!?」
柏木さんは信じられないのか、何度もしつこく確認してきた。
私は何度も頷いて、安心させるために笑顔を見せた。
桜井くんの肩を強く揺さぶりながら喜んでいる柏木さん。
されるがままになりながら、情けをかけられた、と悔しそうにしている桜井くん。
ずっと黙っていた須賀くんと、そのとき目を見合わせて笑った。
その笑顔を見たとき、私は自分の選んだ道が間違っていないことを悟った。
「それで、条件だけど―――・・・」