夢みる蝶は遊飛する
私が出した条件は、至極簡単なことだった。
「そんなことでいいの?」
柏木さんは不思議そうな顔をした。
私はそれに首を縦に振った。
「これが、今の私にとっては大切なことなの」
バスケによって傷ついた私は、バスケでしか癒されないのだ。
こんな私を必要としてくれるのならば、それでいい。
私にバスケを教えてくれた大好きな人が、最後に私に向けた言葉が
“お前はもう必要ない”
だったのだから。