ブロークンプリンセス
友達は、私がおままごとをしなくなった途端、おままごとを始めた。

サクサク、トントン、ああ…私がやっていた、野菜や肉を切った音。

でも、その音には、「楽」があった。私の音には「虚」だけがあった。


私は、友達に「入れて」と言った。

友達は逃げた。私は拒絶されたのだ。

私は一人、外に出た。
皆、グループで、私は一人。

悲しくて涙が出た。

悲しくて悲しくて、涙が止らない。


先生が走って来た。

先生が優しく頭を撫でてくれた。

私は先生に抱き付いて、放れようとしなくなった。


次の日、友達が、おままごとしよう、と、私を誘った。

「うん」

私はすごく嬉しくて、ワクワクしながらおままごとをやった。

私の役割は子供。それも、すごく泣き虫な子供だった。

私はこの頃から、イジメられていたのだ。


「泣き虫姫」


私の渾名だ。


一度先生に甘えただけだった。


私は、それに気付かなかった。鈍感だったのか、私は全く気にしなかった。


ある日、私は、遊ばなかった。ぼんやりと外を見て、ずっと視線を離さなかった。

友達が、「何か気持ち悪いね」と言った。

私はそれでも外を見続けた。


その日を境に、私は、おままごとが嫌いになった
< 2 / 16 >

この作品をシェア

pagetop