5月1日―幸せの訪れる日―


「昨日……」


「昨日は……ゴメン。」


「へ?」

私は謝られるとか思ってなかった。

蘭はいつも私と喧嘩したら全く謝って来ない。

いつもこういうときは


「鈴、ご飯」

と言って呼びに来るだけだから

今日もそれだと思ってた。


「昨日……何かちょっと苛々してて…それで……ホントゴメン。」

蘭はぺこりと頭を下げる。


「もうご飯だから、降りて来いよ。」

私の目を見て蘭はそういうと、部屋から出て行った。


……思春期の男の子は大変って言うか…まぁ、苛々したりするんだろうなと

勝手に脳内で解決した。

…しょうがない。今回は許すか。

私は階段をペタペタ降りていく。

リビングではいつもどおり

ママが制服にアイロンをかけていて

パパは新聞を読みながら珈琲。

そして蘭はテレビを見つめながら朝食を食べていた。

「ママ、パパおはよう」

「おはよう鈴。よく眠れた?」

「うん。」

「そう。じゃぁ、ご飯早く食べちゃいなさい。」

「うん」

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