5月1日―幸せの訪れる日―


図書室に行くと何人かの生徒がいた。

―誰が俺を呼び出したんだろう…?

俺はどうすればいいのかわからず、壁に寄りかかっていた。

すると、向こうから俺に向かって手招きをする人が見えた。

確かあの子は…大財閥の娘だったはず。


大財閥の娘というと、俺の勝手なイメージで

髪の毛を縦にくるくるに巻いて、何でもお金で解決しようとする

最低な奴だと考えていた。

だからこんな学校に大財閥の娘が?って思った。

皆の噂によると、彼女は1人で生活が出来るようになる為に

留学がしたかったらしく、手続きをとろうとしたが、

その留学先で、とある病気が流行ってて、国民に恐怖を味合わせていた。

そんな所に娘をやれるわけも無く留学は中止。



だから確か彼女は中学生だが、1人暮らしを始めたとか。

彼女は性格もよく、皆によく好かれている。

そんな彼女が…俺に?

まさかな、自惚れもいいところだ。


「何?どうしたの?」

大体呼び出した理由は検討付くくせに知らないふりをする。

「あのね、私蘭くんが好きなんだ…。だから、その…付き合って??」

やっぱり彼女もそうだったか…

「ごめん。悪いけど俺には好きな人が居る。」

「知ってる…お姉ちゃん…なんでしょ?葦原鈴…って言ったっけ?」

………え??

俺は彼女の言葉に驚きを隠せない。

何でそんな事を何の関りも無いお前が知っているんだ?

「やっぱりその表情からしてそうなんだ…。

うふ。ねぇ蘭くん。よかったら付き合おう?」


彼女はそっと俺の手を握る。

ここでこの手を振り放したらどうなるだろうか。

彼女は、友達とかに言ったりしないだろうか。

もし鈴とか、誰かに言われたら一生の終わりだ。

「ねぇ、嫌?付き合いたくないの?」


彼女はまた俺に問い掛ける。

俺にはこうする事しかできない。









『いいよ、付き合おう』








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