5月1日―幸せの訪れる日―
蘭side~偽彼女
「えっなんだって?!あの早元瑞穂と付き合うだって?!」
親友である陸に付き合うことになったということを言うと
とてもびっくりした顔をしていた。
元からでかい目がもっとでかくなっていて。
確かに驚くよな。誰とも付き合ったりしなかった俺が付き合うんだから。
でもここまで驚かれるとは…
「ああ。」
「そうかぁ~やっと蘭にも彼女か。これでライバルが1人減ったし!今日はお祝いだ!!」
同じクラスの野郎共が『おぉ』叫ぶ。
はぁ…
そんな事を考えていると
「蘭くん!!」
キラキラの笑顔で俺の名前を呼ぶ瑞穂が目に入った。
「ほら、行って来いよ。」
気を利かせたつもりで居るのだろうか。
皆は俺を瑞穂の所に行くように促す。
まぁ、ここで行かなかったらだいたいどうなりそうか予想が付く。
「どうした?」
瑞穂は下を向いてもじもじする。
トイレか?
「あっいきなり呼んでごめんねっ…あのさ、今日一緒にかえ…らない?」
気がつけばさっきまで下を向いていた顔を上げ、
俺の顔を覗き込んでいた。
「えっあ…ごめん…一緒に帰れない。」
「何で?」
「何でってそれは…」
それは鈴に会っちゃうかもしれないから。
確か人伝えに聞いたものだが瑞穂の家は俺の家と近かった筈。
という事は俺等が帰っている姿を鈴がみる、という事で。
俺にはそんな事できるわけが無い。
瑞穂は暫く考え込んでボソッと
「その理由って、鈴さん?」
「え?」