5月1日―幸せの訪れる日―


俺は気が付くとベッドの上に携帯を持ちながら横になっていた。

プルプルと電話が鳴る。

携帯には【瑞穂】の文字が。

いつ番号教えたっけ。まぁ、いいか。

「もしもしっ私、瑞穂。蘭くん?」

「……あぁ。」

「よかったぁ。間違えてたらどうしようって心配でさ。」

電話の向こうから安堵の溜息が聞こえる。

「……でしょ?……蘭くん??」

俺はボーっとしていたみたいだった。

「もう。聞いてなかったの?だから、明日蘭くんのお家に行ってもいい?って言ったの。」

「は?」

何だって?

「だーかーら!!明日蘭くんのお家行きたいなって。」

家に来たい?

「悪いけど無理だ。」

「何で??いいじゃない。【彼女】なんだから」

瑞穂は『彼女』という部分を強調して言う。

「あっお姉さんがいるからなの??」

何でこいつは俺の本心を見抜くのだろうか。

あっさりと俺の思っている事が分かられてしまう。

「違うよ。」

「じゃぁいいじゃない。明日行くね?

クッキーを焼いていこうかな。何クッキーがいいかなぁ。

ダージリンも…「だから無理だといっているだろう!!」

俺は思わず叫んでしまう。

叫ぶ必要があったのか…自分ではよく分からない。

「ごめん、つい…」

「いいの!!また、今度行かせて?じゃぁ、おやすみ」

そこで電話は切れた。

でも、俺は本当にあいつを家に入れたくない。

鈴に、知られたくない。


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