5月1日―幸せの訪れる日―
唇に暖かい物を感じる。
そっと目を開けると誰かと唇が繋がっている。
鈴…?
目に映る人は鈴…?
「す…ず?」
ユラユラする体を起こす。
「ダメだよ蘭くん。まだ寝てて?」
…あれ。鈴じゃ…ない?
「鈴さんだと思ったの?私よ。瑞穂。」
「みず…ほ?」
分かるわけがない。
瑞穂はいつも長い髪を耳の下で2つ結びをしていて少し巻いている。
だが、今日は髪を下ろして少し巻いていて…
鈴の髪型と同じだった。
「鈴さんと間違わないで。それより、今日の授業の分のノート。預かってきたの。
机に置いておいたから。」
「あ…あ。」
何でこんなにも声が出しにくいんだ。
「それにしても…」
瑞穂は俺の部屋を見回す。
「やっとお家に来れた。お母様、いい人そうだね。」
あ…そうか。勝手に入ってこれるわけない。お袋にあったのか。
鈴には?鈴には会ったのか?
というか、今何時だ?
「今、何時…だ?」
俺のベッドからは時計が見えない。
携帯も机の上においたままだ。
「んーっと18時よって。。大変!!お花の稽古の時間だわ。
また明日来るね。じゃぁ…。」
そういって俺の顔に瑞穂は顔を近づける。
まさ、か…
唇が触れ合った瞬間、
「蘭?入るね?」
この、声は…
「蘭、大丈…あっごめんなさい。彼女さん…来てたんだね。
ごめん。ごゆっくり。」
俺たちを見た瞬間鈴は部屋から出て行った。
「あっ鈴さんに見られちゃった。恥ずかしいな。」
瑞穂は顔を赤くして頬に手を当てる。
こいつ…
鈴が来たとき余計に唇を合わせやがった。
「あっ私を怒ろうとしてるっ私は帰らなきゃっ
じゃぁ、また明日ね」
ばたばたと瑞穂は部屋から出て行った。
……はぁ…。
目を覚ましたら俺に瑞穂はキスしてるし、
キスしてるところを鈴に見られるし………。
もう、俺考えたくない。
寝よ。