5月1日―幸せの訪れる日―
ふと蘭に向かって手を伸ばす。
…綺麗な髪。
いつのまにこんなに大きくなったんだろう。
暫く触っていたら蘭がゆっくりと目を覚ました。
「す…ず?」
「おはよ。ポカリでも飲む?」
蘭はコクンと頷いて体を起こす。
やっぱりまだきつそうだ。少しだけ体を支えてあげる。
蘭はポカリを飲むとまた布団に横になる。
「ご飯、要る?」
蘭はふるふると首を振る。
「少しだけでもいいから食べない?林檎とかは?」
確か冷蔵庫の中に林檎が入っていた。
「……林檎食べる。」
「分かった。じゃぁ、持ってくるね。」
「鈴、蘭起きてた?」
「今起きたよ」
「ご飯、どうするって?」
「林檎あったよね?それ食べるって。私が切って持っていくね」
「ごめんね、お願いね。」
切り終わった林檎を見て思う。
……擦ったほうがよかったかな。まぁいっか。
部屋に戻ると蘭は寝ているみたいだった。
「蘭?寝てるの?」
私が声を掛けると蘭は目を開けた。
「林檎。食べるでしょ?」
「あぁ…ありがと」
ゆっくりもぐもぐ食べている。
「食べ終わるまでここにいるから、ゆっくり食べてね」
私は周りを見回す。
あっこれ…
机の上に置いてあった写真たて。懐かしいな。前家族旅行に行った時の写真だった。
また、行きたいな。
去年は伊豆だったから、今年はまた別のところに行きたいなぁ。
「鈴…」
「ん?あっ食べ終わった?んじゃ、寝る前に体温計で体温測って?」
ピピピピピ
「…ん。」
蘭から体温計を受け取り何度だったか見ると
38.6度
まだこんなに高いの?!
「蘭、もう寝ていいよ。私はもう行くね。」