5月1日―幸せの訪れる日―


土曜日。私はお昼近くまでゆっくり眠っていた。

その時、廊下で声が聞こえる。

お母さんと…誰だろう。

お客様が来ているのかな。私はそっと耳を澄ます。


「瑞穂ちゃん悪いわね。昨日も来てくれたのに今日も来てもらって。」

瑞穂…?

あっ昨日蘭のお見舞いに来ていた子…


「いいんです。彼女として当然の事を…あっシュークリーム…これ昨日作ったんです。

お口にお合いするかどうかは分かりませんが…良ければお食べください」

「まぁ。ありがとう。

じゃぁおやつの時にでも食べさせてもらいますね。

気を使わせちゃって悪いわ。」

「本当にお気にしないでください。私の気持ちですから。」

「ありがとう。ゆっくりしていってね」

「はい」

瑞穂ちゃんは蘭の部屋に入ったようだった。

少し胸が痛い。

何でかな…

病気??まさか…ね。


私は何も考えたくなかったから

また布団を頭から被りもう眠たくないけど無理やり目を閉じた。

考えたくない。

何か忘れられる事…

そうだ。明日樹と出かけるんだ。

洋服は昨日選んだし、あっ髪型どうしよう。

私は布団を剥し、鏡の前に座る。

んー、耳の下で結ぼうかな…

ガサガサ

隣で物音がする。

『……彼女として当然の事を…』

そう言っている瑞穂ちゃんの姿が目に浮かぶ。

駄目駄目。忘れよ。

よし。明日は髪の毛を巻こう。ん~どんな巻き方がいいかな。

『シュークリーム…これ昨日作ったんです。』

きっと綺麗なシュークリームなんだろうな。

一生懸命蘭のために作ったんだろうな。

…て私は何蘭のことばかり考えてるんだろう。

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