5月1日―幸せの訪れる日―



「あのっ…」

しばらくした頃後ろから声が聞こえる。

振り返るとそこには瑞穂ちゃんがいた。

「こんにちは。もう起きたの?」

「あっ…はい。すみません。蘭くんはもう起きているので…私は帰ります。

今日はおじゃまいたしました。」

瑞穂ちゃんはペコリと綺麗な姿勢でお辞儀をする。

「いいえいいえ。これからも蘭のことお願いしますね。」

「はい。それでは…」

また瑞穂ちゃんはお辞儀をする。

顔があがった時ふと私と目が合った。

瑞穂ちゃんはにこりと微笑み、

「おばさま、おじさま、蘭くんのお姉さま、失礼いたします。」

ガチャン。

ドアが閉まり一瞬の沈黙の後、

「なんであんなに礼儀正しい子なの?!あんな子蘭には勿体無い!!」

「お辞儀の姿勢が本当に綺麗だったなぁ…」

と2人は褒めまくっている。

私はそんな空気の中部屋を出て行った。


< 39 / 67 >

この作品をシェア

pagetop