5月1日―幸せの訪れる日―


「蘭~らーん!蘭!!起きてよ!!ほらっ」



ん…


目をゆっくり開ける。するとそこには鈴がいた。



「す…ず?」



「ご飯だって!!ほら、早く!!」


鈴が俺の腕を引っ張って起こそうとする。

寝ぼけ眼の俺の目に映っているのは

「ん~」と一生懸命俺の腕を引っ張っている鈴の姿。

「ん…今起きる。」


俺は立ち上がり俺の前にいる鈴の後を着いて行った。

「今日のご飯はね、ハンバーグだって!やったっ」

後ろを振り返って凄い笑顔で話す鈴はとても可愛くて、

抱きしめたかった。

そんな事、できるはずなんかないけど。

リビングに着くと父さんと母さんがもう食べ始めていた。

鈴もさっさと自分の席に座って美味しそうにハンバーグを頬張る。

俺も座って、黙々とハンバーグを食べ始めた。

俺はずっとテレビの方をじーっと見ながら食べていた。

横を見たら、

鈴を見たら、

とめられなくなる気がして…

この想いを、

このちっぽけな愛を…


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