5月1日―幸せの訪れる日―
俺は深い深呼吸をする。
「俺が好きなのは…
正真正銘俺の姉の葦原鈴なんだ…」
言った後沈黙の空気が流れる。
俺は言うんじゃなかったと後悔をした。
このことを知って陸は俺と友達やめるかもなって。
「そっかそっか。鈴さんが好きなのか。
はぁ…よかった。」
ん??よかった??
「よかったって…何がよかったんだ??」
「ん??よかったていうか正確に言うと嬉しかった…かな??」
陸の言葉に益々分からなくなる。
「蘭の好きな人のこと聞けてよかった。
ここで嘘疲れたらたまったもんじゃないよ」
陸はいつの間にか止めていたマロンを撫でる手を動かし、俺の顔を見た。
「蘭、辛い恋している同士がんばろう!!当たって砕けろってな!!」
陸は右手で拳を作って俺の方に突き出す。
「あぁ」
俺も右手を陸の方に突き出した。
そして俺の拳と陸の拳のぶつかる鈍い音が部屋中に響いた。
「でも、陸。当たって砕けたら駄目だろ。」
「あ…はははっそうだな」
陸は顔をくしゃくしゃにして笑う。
俺も同じく顔をくしゃくしゃにして笑う。
陸、ありがとな。