短編集
「今日は…武さんとデートだったよね?」
早希はマグカップをテーブルの上に置いて、あたしの横に座った
「…仕事行っちゃった」
「また?有給取ったって言ってたよね?」
「しょうがないよ、部長さんだもん」
「学生だから社会の事とか分かんないけど、酷くない?」
苛々したように、指でコツコツとテーブルを叩いた
「部長さんだし…」
「部長さん部長さんって優羽はタケさんに遠慮しすぎ!!
武さんだってもっと優羽に言ってほしいって思ってるよ」
そうなのかな?
もっと気持ち伝えた方が良いのかな。
けど、もう遅いよ。
今更伝えたって、タケちゃんには――…
「好きな人、他に…いるかも…っ…しれない」
「はあ?」
「…タケちゃん寝てる時に携帯が鳴って、画面見たら知らない女の人の名前だった」
あの時のことをまた、思い出して涙が出てきた。
「い、緒里って名前…っ…」
「緒里?……あたしも知らない」
考えたくもないけど、やっぱり、浮気してるのかな?
それとも、あたしが浮気相手かな?
やだよ…っ
タケちゃん。