短編集
聞きたくなかった。
忘れたかった声。
だけど私の好きだった。声
「――っ」
「紗絢だよな…久々だな」
振り返ると、こんがり焼けた翔太が私の目の前に立っていた
「元気だったか?」
なんて聞いてくる翔太。
翔太は何回、私を突き落とすのだろうか
「うん…元気」
「県外行ったって聞いた」
「うん…帰省してんの」
「そっか。」
「じゃあ――…」
「ちょっと公園寄ってかねぇ?」
私の言葉を最後まで聞かずに言った翔太