短編集
「…翔太は…ズルい…っ」
「紗絢?」
「私が翔太の事、許さない訳が無いでしょ」
これまでの行動がすべて私のためなら、尚更だ
「ズルい…っ…バカっ」
「…っ…紗絢」
名前を呼ばれて翔太の顔を見上げた瞬間に腕を引かれて抱き締められた
「…紗絢、好きだ」
「…?!!!!」
「ずっと好きだった。お前が遠くに行っても忘れられなかった」
「しょ…翔太」
「返事は…もし良いなら、抱き締め返して。」
有り得ない翔太の言葉に涙で視界が霞む
答えはずーーっと前から決まってる
だけど、すぐには抱き締め返さないのは、ちょっとした意地悪
私はゆっくり、翔太の背中に腕を回した