私は愛されていた。
車内は沈黙だった。

前にも、お互い何も話さない時はあったけど‥あの頃は話さなくても「安心感」があった。




でも‥

でも、今は違う。何か話そうと思っても声が出なかった。


どうしよう‥もうすぐ着いちゃうよ‥




『今日は家まで送れなくて悪いな。気を付けて帰れよ』


そう言って見送ってくれた。



いつもなら、

「まだ帰りたくない!!」とか言う私も、今回は言えなかった。


『送ってくれてありがとうございました』



渡部さんの顔を見ることが出来なかった。
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