私は愛されていた。

お花見

ボーリングに行って以来、私たちのシフトは結構一緒だった。
バイト先に行けば、だいたい渡部さんのいる日だった。


同じ時間に休憩を取ることも多く、その度に



『あの日の桜、綺麗でしたよね。お花見にすればよかったな‥』

って残念そうな顔で私は話した。





何日も言い続けたら‥


『分かったよ。仕方ねぇ〜から連れてってやるよ!!』

って渡部さんが言ってくれた。





私は嬉しくて嬉しくて

毎日てるてる坊主を作って事務所の机の上に置いていった。



「晴れますように」とお願いして。








そして当日。

天気は‥雨。最悪



私は中止になると思ったので、渡部さんの休憩の時間に電話をした。




『もしもし。
ヤナ今、大学にいるんですけど‥凄い雨ですね。やっぱ中止ですよね??』


楽しみにしてた思いが大きすぎて、行かれないのが寂しかった。





『ヤナ行かないの??
こっち、晴れてるけど(笑)』



『へっ??晴れてるんですか??』


私は聞き返した。



『そりゃあ、あれだけてるてる坊主作れば雨なんて降らないだろう(笑)

で、今日はどうするんだ??』






私の気持ちも晴れてきた。

『もちろん行きます!!出来るだけ早く帰りますね。』




そのあと10分くらい話をして電話を切った。


『午後の講義も頑張るぞ!!』

午前中とは別人のようだった。
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