TRUE
Story 1

出発


ことの始まりは高校3年生になってからだった。


その日の朝。学校は新学年の始業式だった。

クラス替えが行われ、興奮した様子で2・3年生が騒いでいる中、始業式が始まった。


いつも通りの指導部からの休み中の不祥事についての注意、春休み中に行われた大会等の表彰、そして校長のこれまたつまらない話だ。

“もう少し意味のある話できねーのかよ…“


誰もがそう思っていた時、校長の話題が変わった。


「え~、毎年行われている【スペハイ】ですが…」

【スペハイ】とは、インハイ(インターハイ)をもじったもので、優れた高校生(superior high school student)による大会である。


優れた高校生とは、全国大会等に出場した経験があり、『その競技や実績で将来、充分な生活ができると思われる高校生』で、また3年生に限られている。

条件を満たし、参加に同意した高校生を全国各地に設置された施設で生活させ、互いに刺激しあい練習に励ませるというのが主旨である。

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