TRUE
当時中学1年生だった君哉の学校は団体で全国大会に出場し、ノーシードから激戦を勝ち抜き、決勝まで勝ち上がっていた。

決勝の相手は優勝候補の第1シードの学校で君哉は優勝が決める最後の試合だった。


試合はまったくの互角だった。どちらともタイブレークを1個ずつとり、迎えたファイナルセットもタイブレークに突入した。お互いサーブをキープし続け、カウント6ー6になった時、それは起きた。

君哉が渾身のフォアを逆クロスに決め、7ー6マッチポイントにした瞬間、君哉は右腕を押さえて倒れ込んだ。

決勝まで、数々の強豪と戦ってきた君哉の腕は限界をとっくに超えていた。


君哉の腕はみるみる紫になっていった。疲労で筋肉が断裂し、内出血していたのだ。


しかし、20秒以内に次のポイントに入れなければそのポイントを失ってしまう。せっかく握ったマッチポイントを失ってしまう。

{ここまで来て負けるわけにはいかない}

そう思った君哉はラケットを左手に持ち替えた。

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