TRUE

キャーという菜美の悲鳴と共に、君哉たちは下に落ちていった。

君哉は急いで下を見た。下は周りは砂浜だが、その真ん中に深そうな海の溜まりがあった。

{このまま落ちればなんとか助かる……}

しかし、この落差。菜美の体では水に打ちつけられた衝撃に耐えられないかもしれない…

そう思った君哉は、空中で菜美の下に入り、水に入る寸前に菜美を上に押し投げた。

ものすごい勢いで君哉は海に沈んだ。それでもすぐに、後から落ちてきた菜美を抱えて、周りを囲んでいる砂浜に上がった。

菜美はショックで弱り果てて近くにあった岩にもたれかかって、咳き込んだ。

幸い晴れていたので、しばらくすれば温まって菜美も回復するだろう。

しかし、崖のコケが、満潮になればもっと水位が上がるコトを示していた。ここにいては、海に流されてしまう。

君哉はなんとか崖の上に上がれないかと周りを見回した。

すると、右手の崖沿いに砂浜の道が続いているのを発見した。ずっと歩いていけば上に上がれる道があるかもしれない。

そう思って君哉は少し安心して、菜美に視線を戻した。