TRUE
「へへ、考えてるコト一緒だね。このまま海が満ちてくれば上に上がれるかもしれないって思ったんでしょ?? ここなら周りが崖で流されないしね。大丈夫、立ち泳ぎできるよ。」
菜美が微笑みながら言った。 君哉はホッとした。これでなんとか助かるだろう。
2人はそこに立ったまま、ひたすら海が満ちてくるのを待った。
だんだん太陽が下がるに連れて、海面も上昇し、足が着かないところまで上がってきた。
2人は崖に捕まって、さらに満ちるのを待った。
そして、ついに上に登れるところまで、上がった。太陽は沈み始め、空は赤色に染まっていた。
ちょうど階段のような形をして飛び出している崖につかまり、君哉が先に上に上がった。そして、すぐに菜美が上がるのを助けた。
「ありがとう、朝倉くん。」
菜美は少し息を弾ませながら、君哉を見て言った。しかし、君哉は菜美の後ろを見て呆然としていた。 菜美はつられて後ろを見た。
素晴らしい光景だった。
目の前には一面赤く染まった海が広がり、その果てには大きな太陽が半分隠れていた。
そしてさらに、振り返るとそこは大きなピンク色の花畑だった。夕日に照らされて、より神秘的な光景が生み出されていた。 しかし、この花畑も高い崖に囲まれており、通り抜けられるような穴もなかった。
「すごい……」
菜美がまるで夢を見ているかのように呟いた。君哉もただ見とれるばかりだった。