TRUE
「とりあえず今日は、ここを動かないほうが良いよね。もう暗いし…」
太陽が沈み辺りが暗くなってきたとき、菜美が言った。君哉もそれに賛成だった。

2人は、花畑に真ん中に座り込んだ。しばらくすると、陽の光は完全になくなった。しかし、辺りは少し明るく、さっきまで一面夕日だった景色は見事な星空に変わっていた。

となりで、菜美が後ろに倒れ込んで花畑に仰向けになった。君哉も戸惑いながら仰向けになった。

空はまるでプラネタリウムのように、星で埋め尽くされていた。

「すごい…」
また菜美が呟いた。君哉はつい、横目で菜美を見てしまった。瞳に映る星がキラキラと輝いている。

「夕月夜 顔出す 消えてく子供の声……」
菜美が小さな声で歌い出した。初めて菜美が歌うのを聞いたときと同じ、「プラネタリウム」だ。

本当に綺麗な声だ。君哉が目を閉じると、まぶたの裏にも星空が輝いているような気がした。


菜美が歌い終わると、君哉は目を開けてもう一度横目で菜美を見ようとした……

その時、足のほうでバシャという水の音と、何が近づいてくる気配を感じた。

君哉は急いで起き上がり、それを見た。

君哉の目の前にいたのは………
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