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西表島旅行から帰ると、みんな部屋の荷物をまとめだした。 いよいよ九州大会、いわば「全国大会である“祭“」の予選が始まるからだ。
九州地区には、君哉たちのセレナードも含めて6つのセレナードがある。そのため、もっと大きな施設に移動しなければならなかったのだ。
君哉が勇太と荷物を持って階段を降りていると、菜美と瞳も後ろから荷物をひきづりながらきた。
「あれぇ? 有園クンの荷物なんか軽そうだなぁ…… 私のも持ってよ!」
瞳は今にもはちきれそうな勇太のボストンバッグを見て、同じようなボストンバッグを差し出しながら言った。
「はぁ? これのどこが軽そうなんだよッ!言ってみろ、この~」
勇太は笑いながら瞳にじゃれかかった。君哉がやれやれと首を振って歩き出すと、菜美も着いてきた。
「いよいよ九州大会なのに全然緊張してなさそう……自信あるんだね♪」
菜美が勇太たちを振り返りながら言った。
「アイツは全国大会すら慣れてるからね。」
君哉はそう言って、まだ階段の上にいる勇太を見上げた。
勇太たちが追いつけるようにゆっくり歩いていたので、周りには誰もいなくなっていた。君哉はふと、この前の人魚に会ったことを覚えているか聞こうとした
「あ…あのさ……」