TRUE
集団が菜美たちに近づいていく中、周りはシーンとして、ただその成り行きを見ていた。君哉と勇太は言い合いをしていたので、まだ気づいていなかった。
「あ?なんだよ、俺らの髪型がそんなにおかしいか?良い度胸してんじゃん、可愛い顔してさァ♪」
そう言ってリーダーが菜美の頬を掴もうとした時、ようやく君哉は2人が絡まれていることに気づいた。
「おぃお前ら。何やってんだよ。」
君哉が呼びかけると、男たちは2人を人質にするように抑えつけて君哉たちに向き合った。
「ほぉ、お前らの女か。今コイツらが俺らの髪型を笑いやがったからよォ、一発殴ってやろうかと思ってよッ!!」
そう言った瞬間、菜美を抑えつけていた男が握り拳を上げた。油断していた君哉たちは止めるには届かない距離にいた。
《まずい……!!!》
その時、黄色い閃光が顔の横を走った。閃光は抑えつけていた男の顔面に当たり、男は仰向けに倒れた。
菜美たちは驚いた顔をして君哉の後ろを見ていた。 君哉も“誰“かわかっていたような気がした。
『おいおぃ、そんな可愛い子ら連れて危ない目合わせてんじゃねぇよ』
君哉は目を見開いたまま振り返った……
『よぉ、君哉……久しぶりだな』