TRUE


その後は瞳と勇太だけの会話になっていった。菜美も無事に友達第1号ができたので嬉しかった。


しかし、ふと君哉に視線をやると、君哉は相変わらず無関心で、テニスコートを見つめたままだった。その眼は落ち窪んでいて、一点の光すら感じられない。

{この人……}


その後、君哉たちといったん別れ(瞳は勇太のアドレスを聞いた)、その他の施設を回り、夜ご飯を食べた。

部屋に戻る時も瞳はテンションMAXだった。

「すごいなぁ…私、テレビに出てる人に会うの初めてだよ!今日さっそくメールしても良いかな?」
瞳はスキップしながら、そう言って菜美を見た。

しかし、菜美は下を向いていた。なぜか君哉の“あの眼”が頭から離れなかったのだ。好きになったわけでは全くないが何かひっかかった。

「どうしたの、なみ??元気ないよ!?」
瞳はスキップ足をパタリと止めて菜美の顔を覗き込んだ。


「ううん、ちょっと寒かっただけ。ちょっと散歩しない?有園クンにメールしながらさ♪」



その頃、君哉はシャワー室から一人で寮に戻っていた。


< 5 / 48 >

この作品をシェア

pagetop