TRUE
君哉が寮への帰り道の桜の木にさしかかると、遠くからかすかに大人数の声が聞こえた。何かの行事の時でない限りシャワー以外の夜11時以降の外出は許されていないし、大人数で規則を破るような人間はこのセレナードにはいない。

君哉はあまり良い予感がしなかった。誰かがピンチにさらされている、そんな気がして様子を見に行くことにした。

声のするほうに行くと、そこはテニスコートだった。その観客席に物騒な格好をした奴らが何かを囲んでいる。囲まれているのは菜美と瞳だ。

様子からしてまだ絡まれ始めたばかりのようだ。
{あれなら警備員を呼んでくるまで持ちそうだ。}

君哉はそう判断して警備員を呼びに行こうとした。しかし……

「朝倉クン!!!!!!」

瞳が君哉の存在に気付いて叫んでしまったのだ。

「助けて……」
ヤンキー軍団が一斉にぐるりと振り向いた。

「おい、コラァ!!!!こっちこいやぁ!!!」

君哉は仕方なく近づいていった。
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