メガネ君はヤンキー君



「きゃあああ!
誰か助けて!
あたくしこの
ヤクザの娘に
殺されてしまうわ!」



あたしは力なく
手を離す。





「これがこの人の
本性なんだわ…!

みなさんも
気をつけた方が
いいですわよ!」







「…出てけよ!」





え…?





「…そうだよ。
オレはヤクザの
娘なんかに
殺されたくねえ!」

「オレだってそうだ!」

「早く出てけ!!」








みんなまで…!





あたしはフラフラと
立ち上がって
教室を出た。





その時湊さんと
すれ違った瞬間、
あたしは見逃さなかった。



湊さんが
勝ち誇ったように
笑ったのを。





あたしは奥歯を
ぐっと噛んで
廊下を走った。



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