メガネ君はヤンキー君
そしてあたしたちは
屋上にやってきた。
屋上の扉を
閉めたと同時に
また南に抱きしめられる。
「っとに…ばかやろう」
南はキュッと
あたしを抱く腕に
力をこめる。
「なんで言わねえんだよ!
…って違うか。
今まで…
気づけなくてごめん」
その言葉に
何かの糸が切れたように
あたしの目から
ぶわっと涙が溢れた。
「本当は…
うすうす感じてたんだ。
杏の様子が
おかしかったのも、
杏のクラスが
変だったのも…。
オレ、頼りねえよな…」
誰もいない屋上に、
南の声が
寂しげに響く。
さっきもそうだけど…
いつもの南からは
想像もできないくらい
今日の南は一生懸命
言葉をぶつけてくれてる。
こうして言葉で
思いを伝えるのは
決して得意じゃ
ないはずなのに…。
そう考えると
胸の奥がキュッと
掴まれたように
苦しくなった。