一意愛心
「そーいえばさぁなんで由奈はさっき話しそらしたの??」
ずっと気になってたらしい華織がまた話を振り返した。
今は中学校の近くの公園。ベンチで三人座ってる。
「えー今は言いたくないなぁ。」
あたしは首を横に振った。
「んまぁ由奈が言いたくないならそれでいーけど。」
華織姉さんは由奈をじーっと見てからしょぼんってした。
「……。」
「…………。」
「……………。」
「「ぶははっ!!」」
華織が拗ねているのを
見て、あたしと春菜は吹き出してしまった。
「な、なんんだよぉっ??!」
「華織の由奈だもんね〜〜??隠し事は許せませんよね??」
春菜がからかう。
「あたしは逃げないぞ!小悪魔姉さん♪」
それに続いてあたしも華織をつつく。
「ばかか!お前ら!!」
華織は照れながら怒ってるみたい。
「分かった分かった!話すよぉ!!」
すねた華織が可愛くて
私は折れた。
「あんね、あたし彼氏がほしいんだ!!」
あたしは公園に落ちている空き缶を見ながら喋った。
「あらら…華織さん振られた?」
春菜が華織の顔を見ながらいたずらな目をして言った。
「いいから、真面目に聞きなさい。」
いつもの調子が出てきた華織姉さんに咎められた。
「はい…。」
「それで、長年恋もしてないの。」
「うん、だって由奈梅干し宣言してたもんね?」
「はーるな!真面目に聞くっ!!」
「…はい。」
「今まで彼氏いないし……。んでもね、久しぶりちょっといいなぁって想ってた人できたの。」
「はっ??聞いてねーよ!!」
「はーるな!こわい!!」
「…はい。」
「でもね、まだ一週間ぐらいしか想ってない訳だし…。自分でも本当はどうだか分からない。」
一回みんな黙った後に姉さんが口を開いた。
「だぁれ??由奈の心を射止めたお方は?」
「……神木…広樹(ひろき)君…?」
「「えっ????」」
二人が驚きで声を合わせた。