先生とあたし(仮)

「ってかそこに座られたら邪魔なんだけど」

「…はいはい」


景斗は口を尖らせて不満そうにしていたけど。
部屋の隅のソファーに移動すると、携帯をいじり始めた。


下着は後で片付けよう。


「景斗何で来たの?用事あった?」

取り出した食器を慎重に食器棚にしまう。
割れやすいから気を付けないとね。


「んあ?ああ、おばさんに悠のこと頼むって言われててさ」

「…頼むって、もう子供じゃないんだからそれくらい自分でできるよ」


お父さんとお母さん、いつまでも子供扱いするんだから!!!


「悠、料理できないだろー?」

「……。できるもん…」

「カレーも作れないのに?」


後ろを振り向かなくても、今景斗がニヤニヤしてるってことだけはわかる。


「おばさんに料理教えてやってくれって頼まれてんだよねー」

悔しいけど、景斗の料理は上手い。
昔から両親が帰るのが遅い日は景斗があたしに夕飯を作ってくれるなんてことはしょっちゅう。


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